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退職のタイミングって、正解がないから困る。
38歳、中間管理職。これまで3回転職してきたんだけど、毎回「いつ辞めるか」で胃が痛くなるほど悩んだ。1回目は夏、2回目は年末、3回目は年度末。全部違うタイミングで辞めて、全部違う教訓を得た。ベストな時期なんてものは結局なくて、自分の状況に合った「マシな時期」を選ぶしかないんだと思う。
この記事は、僕自身の3回の退職経験をもとに、タイミングの考え方を書いたもの。転職サイトにありがちな「○月がおすすめ!」みたいな単純な話ではなく、実際に辞める側が直面するリアルな判断材料を並べていく。
1回目の退職:夏に辞めた話と、ボーナスの罠
26歳のとき、最初の転職を決意した。理由はシンプルで、上司との関係が限界だったから。毎朝出社するのが本当に苦痛で、5月くらいから転職サイトをこっそり見始めていた。
で、7月のボーナスをもらった直後に退職を申し出たんだけど、ここで想定外のことが起きる。上司に「ボーナスもらってすぐ辞めるのか」と嫌味を言われた。いや、そりゃそうなんだけどさ。今思えば、あの一言がめちゃくちゃ堪えた。別に後ろめたいことをしているわけじゃないのに、なんだか泥棒みたいな気分になった。
ただ、冷静に考えると、ボーナス支給日の後に退職を伝えるのは全然おかしくない。ボーナスは過去の労働への対価であって、将来の拘束料じゃない。頭ではわかっていても、あの空気は独特だった。
7月に退職を伝えて、実際に辞めたのは8月末。引き継ぎは1ヶ月半くらいで、夏場だったからか周囲もバタバタしていて、正直あまり丁寧な引き継ぎはできなかった。これは反省点。
辞めるなら”ボーナス後”が鉄則…でもない
ボーナス後に辞めるのが得だと言われるし、実際に金銭面ではその通り。でも、ボーナス時期に合わせて退職すると、必ずしも求人市場のタイミングと合わないことがある。
これ、重要。
ボーナスは6月〜7月と12月が一般的。一方で求人が増える時期は少しずれている。僕の体感だと、10月〜11月が一番求人数が多かった。年末年始の体制変更に向けて企業が動き出す時期なんだろうと思う。4月入社を見据えた1月〜2月も悪くない。
つまり、ボーナスをもらってから転職活動を始めると、求人のピークを逃す可能性がある。だから僕は2回目以降、ボーナスをもらう「前」から転職活動を始めて、内定が出てからボーナス支給を待って退職する、という順番にした。この順番のほうが精神的にもずっと楽だった。内定があるという安心感は、退職交渉における最強の武器だから。
2回目の退職:年末に辞めるという選択
31歳、2回目の転職。今度は「辞め方」をちゃんと考えようと決めていた。
10月に内定をもらって、そこから退職交渉。12月末を退職日に設定したんだけど、これが意外と良かった。年末って区切りがいいからか、上司も「まぁ年内で」とすんなり受け入れてくれた。1回目のような嫌味もなし。タイミングの力ってあるんだなと実感した。
12月退職のメリットをいくつか挙げると、年末年始の休みがそのまま転職の準備期間になること。有給消化と合わせると、実質1月中旬くらいまで余裕ができた。この期間に新しい会社の業界研究をしたり、引っ越しの準備をしたり。精神的にかなりゆとりがあった。
デメリットは、冬のボーナスが満額出ない可能性があること。僕の場合は退職が確定した状態で冬のボーナスを迎えたんだけど、査定でやや減額された。会社によっては支給日在籍要件があるから、退職日の設定は要注意。12月10日支給で12月末退職なら問題ないけど、12月25日支給で12月20日退職だとアウト、みたいな。
求人が増える時期は実は秋
3回の転職活動で一番感じたのが、秋の求人市場の活発さ。特に10月は、夏休み明けで企業の採用チームが本格稼働する時期で、新規求人がドッと出てくる印象。
転職エージェントの担当者にも聞いたことがあるんだけど、「10月〜11月は年間で最も求人を紹介しやすい時期」だと言っていた。逆に、4月〜5月は新年度の混乱で採用どころじゃない企業が多いらしい。8月もお盆があるから動きが鈍い。
だから、もし転職を考えているなら、夏のうちに準備を始めて秋に一気に動くのが効率的だと思う。職務経歴書の作成、自己分析、エージェントとの面談…これらを7月〜9月にやっておくと、10月から本格的に応募できる。
ただし、これは一般論であって、業界によって全然違う。IT系は通年採用が多いし、小売や飲食は繁忙期を避ける必要がある。自分の業界の採用カレンダーは事前に調べたほうがいい。
3回目の退職:年度末の引き継ぎ地獄
35歳、中間管理職になっていた僕は、3月退職を選んだ。年度の区切りだし、4月入社でキレイに移れるだろうと。
甘かった。
3月って、期末の追い込みと引き継ぎが完全に重なる。チームの数字を追いながら後任に業務を教えるという、二重苦。部下からは「マネージャーが辞めるって聞いたんですけど、本当ですか」と不安そうに聞かれるし、上からは「最後まで数字は追ってくれよ」と言われるし。あの3月は人生で一番忙しかったかもしれない。
管理職の退職は、一般社員より引き継ぎの負荷が圧倒的に大きい。業務の引き継ぎだけじゃなく、部下との関係性やクライアントとの信頼関係も「引き継ぐ」必要がある。これは書類にできるものじゃないから、後任と一緒にクライアント訪問したり、部下との1on1に同席してもらったり。地味に時間がかかる。
“後任が見つかるまで”は罠
退職を伝えたとき、上司から「後任が見つかるまで待ってくれないか」と言われることがある。僕も3回目の退職で言われた。
これ、真に受けたらダメなやつ。
もちろん会社の事情もわかるし、できるだけ迷惑をかけずに辞めたいとは思う。でも「後任が見つかるまで」には期限がない。1ヶ月かもしれないし、半年かもしれない。見つからないかもしれない。退職日は自分で決めて、その日までにできる限りの引き継ぎをする。それ以上は会社側のマネジメントの問題であって、辞める側の責任じゃないと思う。
法的には退職届を出してから2週間で辞められるけど、現実的には1ヶ月〜1ヶ月半は見たほうがいい。僕の場合は毎回だいたい6〜8週間を引き継ぎ期間にしていた。これくらいあれば、主要な業務の引き継ぎ書を作って、後任(または引き継ぎ先の同僚)と一通り実務を回す時間は取れる。
上司に切り出した日のこと
3回退職を経験して、毎回一番しんどかったのが「上司に言う瞬間」だ。
特に3回目。直属の上司は、僕を管理職に引き上げてくれた恩人でもあった。会議室を予約して、「お時間いただけますか」と声をかけたとき、声が微妙に震えていたと思う。会議室に入って、ドアを閉めて、椅子に座って。「実は、退職を考えておりまして」と切り出した瞬間の、あの数秒の沈黙。上司の表情が一瞬固まったのを、今でもはっきり覚えている。
上司は少し間を置いてから「…そうか」と言った。怒られるかと思ったけど、「お前の人生だからな」と。あの時は正直、泣きそうになった。あの一言で、退職を決意して本当によかったと思えた。
切り出し方のコツとしては、金曜の夕方が個人的にはおすすめ。週末を挟むことで、上司側にも考える時間ができる。月曜の朝一に言うと、上司も一日中その件が頭から離れなくなって、お互いにしんどい。あと、退職理由は正直に言いすぎないこと。「キャリアアップのため」くらいでいい。不満をぶちまけても何も得しない。
有給消化は「交渉」じゃなくて「権利」
日本の会社って、退職時の有給消化に対して微妙な空気を出してくるところがまだ多い。「引き継ぎが終わってないのに有給取るの?」みたいな圧。
僕が3回の退職で学んだのは、有給消化のスケジュールは退職日と同時に確定させるべきだということ。退職交渉の段階で「最終出社日は○月○日、残りの有給○日を消化して、退職日は○月○日」と一気に提示する。後から「有給も取りたいんですけど…」と持ち出すと、なぜか申し訳なさそうに言うハメになる。最初から込みで出せば、ただの事務手続き。
有給が20日以上残っていると、約1ヶ月の自由時間ができる。この期間の使い方は人それぞれだけど、僕は2回目の転職のときにこの期間を使って簿記の勉強をした。資格は取れなかったけど、新しい環境への準備期間として精神的に大きかった。
退職を迷っている人へ、ひとつだけ
3回転職した人間として思うのは、「辞め時」は論理的に導き出せるものじゃないということ。ボーナス、求人時期、引き継ぎの都合、家庭の事情…変数が多すぎる。全部が完璧に揃うタイミングなんて、たぶん一生来ない。
だから僕は、こう考えるようにしている。「70点のタイミングが来たら動く」と。100点を待っていたら、いつまでも動けない。ボーナスはもらえたけど求人時期はズレてる、とか。求人は良いのがあるけどボーナスまであと2ヶ月ある、とか。どれかを諦める覚悟がないと、転職って前に進まないんだと思う。
あの時は辛かったなぁ、と今振り返って思う転職も、結果的には全部正解だった。少なくとも、同じ場所に留まり続けるよりは。タイミングを完璧にするんじゃなく、「決めたタイミングを正解にする」ほうが、たぶん現実的だ。
